人材紹介業と人材派遣業の違い

人材紹介業は、求人企業と求職者とを仲介してその採用を斡旋するもので、雇用契約は求人企業と求職者の間で交わされます。採用が決まった時点で斡旋は完了するので、この件に関してのサービスの継続性がありません。
これに対して人材派遣業の場合、雇用関係は派遣業者と派遣労働者との間で交わされており、派遣先企業の依頼に基づいて派遣企業は自分が雇用している労働者をそこへ派遣します。派遣労働者は派遣先企業に労働力を提供し、その見返りとして派遣先企業が派遣業者に派遣料金を支払います。そして、労働者の賃金は雇用関係にある派遣業者が支払います。従って、労働者を派遣し続けている間はサービスが継続していることになります。
ところで、2000年より、「紹介予定派遣」というシステムが認められるようになりました。これは、一定期間派遣労働者として働いた後、労働者と派遣先企業が合意すれば直接雇用に切り替える、というもので、これによって転職時のミスマッチが軽減すると共に、人材紹介業と人材派遣業の兼業が増えてきました。

人材紹介業とは

人材紹介業とは、人材を求める企業に仕事を求める求職者を紹介し、成立すれば紹介手数料を取るビジネスのことです。この際、求人側の企業に対して手数料が請求され、求職者へは請求されません。求職者から手数料を取ることは職業安定法で禁じられています。また、企業に請求される手数料の額は、紹介した人材の一年目の年収の30%前後が相場と言われています。
1947年に職業安定法が制定され、この法律に基づいた人材紹介業が起こりましたが、当初は、美術家、医師、弁護士など、限られた専門職しか認められていませんでした。その後、徐々に認められる業種が増えていきましたが、調理士、美容師、モデル、バーテンダーなど、専門職に限られてきました。
しかし、1964年に経営管理者の紹介が認められ、ホワイトカラーの人材紹介が可能になりました。そして、1999年に規制緩和によって原則自由化され、事務職や販売業の人材も紹介できるようになり、市場が拡大しました。

人材紹介業の背景

古くから有料の人材紹介業がありました。しかし、人身売買や強制労働を防ぐため、第二次世界大戦後、職業安定法により禁止されました。職業紹介は学校などを除くと、国の機関である公共職業安定所が扱うことになりました。
しかし、昭和39年以降、少しずつ規制が緩和されていき、現在は手続きをすれば、人材紹介業を営むことができるようになりました。ただし、特定の紹介が禁止されている職業もあります。
人材紹介業は有料職業紹介事業と無料職業紹介事業があります。有料の方は、企業側から報酬を受け、職業紹介をします。求職者側から報酬を受けることはありません。
無料の方は、一切の報酬を受けないで職業紹介をします。
有料、無料にかかわらず、一般の会社などが職業紹介を行う場合は、厚生労働大臣の許可が必要になりますが、学校や農協、商工会議所などが無料で行う場合は、届け出のみとなります。
人材紹介業を行うには、「職業紹介責任者講習」を受けた、職業紹介責任者が1人以上必要になります。

人材紹介業の許可要件とは

もし、あなたが人材紹介業をしたい。と思った時、いったい何が必要なのか。調べてみました。1.財産的基礎の要件。直近の決算書にて、次の要件を満たしている必要があります。①基準資産額 >= 500万円 × 事業所数②現金預金の額 >=150万円 × 60万円 ×(事業所数ー1)。2.事務所の要件・概ね20㎡以上・求人者や求職者の個人情報を保持できる構造・風俗営業などの密集地域は不可※インターネットのみの営業の場合は、事務所面積は問われませんが、対面を少しでも実施すると不可となりますのでご注意ください。・・・。まだあります。すっごくあります。必要書類も、ここでは書ききれません。もし、本気で人材紹介業をやりたいと思うのなら、まずは、どこかの紹介所に所属して、ノウハウを磨くのがベストでしょう。そして、しっかりとしてプランと準備が必要です。書類だけ書いて申請して受理されればスタート。という甘い考えではできない仕事のようです。

人材紹介とは?

一般的には、A:専門的・技術的職業(主にエンジニア)、B:管理的職業(管理職)、C:事務的職業(経理・営業事務・一般事務など)、D:販売の職業(営業・店頭販売・電話営業など)の4つの職業=ホワイトカラーの方々の職業の紹介を人材紹介と呼んでいます。昔は悪徳業者から労働者を守る観点から規制が厳しく、人材紹介は国の事業でしたが、1900年代後半に大規模な規制緩和によって、民間でもできるようになりました。多分、仕事の内容は分からないけど、名前くらいは知ってると思います。CMがどんどん流れてますから。ただ、誤解のないように追記しますが、人材紹介はあくまで正社員の雇用であり、人材派遣とはちょっと違うということです。活用すれば便利な人材紹介ですが、すべての人が利用しているわけではありません。ハローワークはもちろん、家族や知人の紹介、ネットでの求人情報、新聞広告など、各メディアでも求人活動が活発化していることと、「人材紹介」自体を知らない世代が多くなっているのが実情です。